Exploring “Life Safety Education” Through Local Historical Materials ‐Sex education for local men and women ‐
Kazuko KURODA, 2021年、文部科学省は「子どもを性犯罪等の当事者にしない」ことを目的に、「生命(いのち)の安全教育」を全国的に導入・推進した1)。しかし、教育の実施にもかかわらず性被害の減少には十分に結びついておらず2)、現行の性教育が理論的知識の伝達に偏っている点が課題とされている。
本研究では、地域社会に根ざした歴史的・文化的文脈を踏まえた性教育の可能性に着目し、近代教育制度が確立する以前の地域社会において、性意識がどのように形成され、子どもの性暴力自己防衛につながる教育的機能を果たしていたのかを明らかにすることを目的とする。
長野県の郷土史・民俗資料を分析対象とし、性が共同体の秩序や生命の神聖性3)と結びついていた文化的背景を検討した。『長野県郷土史料』全10巻および小林一茶『おらが春』を対象に、性意識に関する記述を抽出・分類し、神聖性・生活性・共同体性の三層構造に基づいて内容分析を行った。
その結果、性は神話や信仰により神聖視され、温泉文化を通じて身体性が自然に学ばれ、夜這いの民話を通じて規範意識と責任感が共同体内で共有されていたことが明らかとなった。
「生命(いのち)の安全教育」が実効性を高めるためには、地域の文化・歴史的背景を踏まえた包括的な教育体系の構築が不可欠である。性教育は単なる知識伝達ではなく、共同体の倫理と生活に根ざした実践的学びであるべきであり、地域社会の文化資源を活用することで、より豊かな教育が可能となる。
Bulletin of Matsumoto Junior College,, Mar. 2026, [Reviewed]
Case Study on Soil Play: “Student Realities” ‐Change in consciousness when touching soil‐
Kazuko KURODA, 本研究は、幼児保育学科1年生を対象に「土に触れる活動」を2022年度と2024年度で比較し、学生の意識変化と主体性形成の実態を明らかにした。『幼稚園教育要領』(平成30年告示)領域「表現」では、豊かな感性を養うため「自然の中にある音、形、色などに気付くようにすること」が新たに示されている1)。また『幼稚園教育要領解説』では、幼児の興味や関心を広げるために「他の幼児の存在や教師の言動が重要な意味をもつ」2)とされ、保育者には自然との関わりを深める教育的工夫が求められている。観察結果を「発言」「活動中の表現」「事後レポート」に分類したところ、2022年度は実習経験を媒介として土を遊びの素材として捉え直し主体的に活動を展開する姿が確認された。一方、2024年度は「汚れる」という意識が強く、指示待ち傾向が顕著であった。以上から、実習経験の有無が学生の理解の深度や主体性形成に大きく影響することが示唆され、保育者養成課程における自然体験の教育的意義が明確となった。
Bulletin of Matsumoto Junior College,, Mar. 2026, [Reviewed]
The Trajectory of Childcare Workers in Nagano Prefecture from the Perspective of the 1960-1980 Unified Childcare and Preschool System ― Focusing on [ Hoikushinano]―
Kazuko KURODA, 本研究は、1960年代から1980年代前半にかけて長野県で展開された幼保一元論の言説を、長野県保育所保護者会連合会が発行した機関紙『保育しなの』 に着目して分析するものである。幼保一元論とは、同年齢の子どもに対して教育環境の格差があってはならないという理念に基づき、幼稚園と保育所の教育内容を統一しようとする思想である。
長野県は当時、保育所の設置数が幼稚園を大きく上回る特異な地域 であり、保育者・保護者による言説と実践は、全国的にも注目すべき事例である。機関紙『保育しなの』には、制度的二元化のもとで教育内容の共通化や保育者資格の一本化を模索する姿勢が一貫して記録されており、地域実践に根ざした制度改革への志向が読み取れる。
今日、政府は子ども政策の司令塔として2023年に「こども家庭庁」を創設し、「子どもの権利保障」や「こどもまんなか社会」の実現を掲げている。しかし、制度的には「子ども・子育て関連3法 」によって幼稚園・保育所・認定こども園の三元的施設体系が整備され、理念と実態の乖離が生じている。特に、保育士・幼稚園教諭・保育教諭という資格制度の分離や施設機能の違いは、子どもの教育環境に格差を生む要因となっている。
こうした制度的矛盾を問い直すためにも、過去の保育者が制度の狭間で語った一元化への志向や教育観に耳を傾け、そこに込められた普遍的な理念を再発見することが重要である。本研究は、地域資料を通じて歴史的言説を掘り起こし、制度と実践の交差点における保育者の思想と行動を明らかにすることを目的とする。
Bulletin of Matsumoto Junior College, No. 36, Mar. 2026, [Reviewed]
Educational Value of Student Volunteer Activities and Community Collaboration in Child-Rearing Support Centers
Kazuko KURODA Nobuko SEKINAGA, Lead, This study qualitatively analyzed reflective writings from 21 early childhood education students who volunteered at a community event organized by a child rearing support center in 2023 and 2025. The analysis identified six domains of learning: interactions and support for children, communication with parents, awareness of environment, safety, and event management, understanding of materials and activities, self reflection and professional growth, and emotional experiences. The findings suggest that collaboration with child rearing support centers provides meaningful experiential learning in early childhood teacher education.
Keyword: Child-rearing Support Centers, Community Collaboration, Student Volunteering, Early Childhood Teacher Education, 日本看護・教育・福祉学研究学会
日本看護・教育・福祉学研究, Mar. 2026, [Reviewed]
疑似育児体験における「親子健康手帳」の教育的活用永石 喜代子; 武井 浩子; 黒田 和子, 保育者を目指す学生が保護者の立場を想定し、誕生から6歳までの子どもの親子手帳をつづることで、保護者理解につながるのかを検証した。結果、保護者理解につながる教育的活用の1つとして示唆された。
共著:永石喜代子・武井浩子・黒田和子
担当:問題提起・考察, 日本看護・教育・福祉学研究学会
日本看護・教育・福祉学研究, Mar. 2025,
[Reviewed] 唱歌教育と信州の郷土音楽の関係性‐伊沢修二と神津専三郎の郷土音楽を中心に‐
黒田和子, 小学校唱歌を牽引した伊沢修二が、明治以前の藩校で培った音楽隊の軌跡をもとに、郷土音楽が小学唱歌の誕生との関係性を探った。結果、幼い頃の経験や教育を無視できないことを言及した。
唱歌童謡学, Mar. 2025
大正期における若山喜志子の童謡‐女流童謡詩人としての活躍‐
黒田和子, 大正期の童謡創成期に、母親や妻の立場からの洞察的な言葉で童謡歌詞をつくった若山喜志子(若山牧水の妻)の軌跡を追った。当時の女流作家の家庭との両立は童謡歌詞にまで影響を与えていたことを論じた。
唱歌童謡学, Mar. 2024
唱歌童謡とカリキュラム‐音楽が楽しいという心情の誕生‐
黒田和子, 歌唱教材の唱歌童謡の歌詞に着目すると、自然を感じる部分が多い。季節を感じ自然を愛す音楽教育を展開するには唱歌童謡が必要であることを言及した
唱歌童謡学, Sep. 2023